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那覇空港が1時間余りにわたって閉鎖され、手荷物検査済みだった乗客全員の検査をやり直す異常事態が9日に発生したのは、乗り継ぎの中国人女性客3人が手荷物受取所に誤って出入りしたことが発端だった。少なくとも発着の5便が欠航、25便が遅延となり、約6200人の足に影響が出た。利用客からは「テロだと思った」「セキュリティーはどうなっているんだ」と怒りと困惑の声が挙がった。なぜ、ここまでの混乱が起きたのか。
国土交通省の那覇空港事務所や豊見城署によると、女性3人は午後4時15分ごろ、石垣島から到着した。羽田行きの便に乗り継ぐ前に、2階の到着口から同じ階の免税店に寄ろうとしたところ、道に迷って1階に降り、乗り継ぎ客の立ち入りが禁止されている手荷物受取所に誤って入ったという。
複数の関係者によると、3人が荷物受取所に立ち入った後、搭乗待合室へ戻ろうとした際、警備員は声を掛けたが制止できずに見失ってしまった。
こうした場合、乗り継ぎ客がナイフやカッターといった刃物などの危険物が入っている荷物に触れ飛行機に搭乗する可能性も否定できないという保安上の理由から、再度、保安検査が必要になる。
同様の混乱は2013年にも起きていた。成田空港から到着した女性の手荷物からハサミが見つかり、搭乗待合室にいた乗客全員に再度、保安検査を実施。空港が3時間閉鎖され、72便に影響が出た。それなのに、また保安検査を再実施する事態を招いている。
今回の事案では、迷った女性が外国人だったことから、空港内の案内図の不備も指摘されている。
那覇空港ビルディング(NABCO)によると、構内の主要動線や重要な標識は日本語のほか英語、中国語、韓国語の4カ国語の表示があるが、テナントなどの案内図には多言語表示はない。同社は「今後は国内線と国際線の連結施設もできる。急増する外国人観光客に対応するためにも、空港の案内表示を強化したい」と説明する。
沖縄観光コンベンションビューローの上原良幸会長は「事故には至らなかったが、観光立県として深刻な事態を招いてしまった。再び同じようなことが起きないように対策を講じていく必要がある」と強調し、「なぜ起きたのか、原因究明を求めたい」と話した。
那覇空港事務所は「空港の保安上の問題なので詳細は言えない。今後、関係者と協議して一緒に対策を考えていきたい」と述べるにとどめている。(社会部・比嘉太一、城間陽介)