毎日新聞 2015年02月15日 13時46分(最終更新 02月15日 19時18分)
米ニューヨーク市のイエローキャブに採用された日産のNV200=日産提供
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◇日本発・世界のヒット商品
日産自動車のミニバン「NV200」は、米ニューヨーク市名物の黄色いタクシー
「イエローキャブ」の次世代モデルに選ばれた。ミニバンの特徴である車内の広さ
に加え、現地のニーズにも対応して同市のコンペを勝ち抜いた。
ニューヨーク市は2009年、排ガス中の二酸化炭素削減や渋滞の緩和を狙い、
次世代タクシーの開発を公募した。同市はNV200の燃費の良さや、小型でも車
内が広いことなどを評価。最終選考に残った米フォードなどを退けた。イエローキャブ
約1万3000台が、13年から入れ替わり始めている。
ミニバン特有の車内の広さや、乗降を助ける補助ステップ、景色を楽しむための
透明な天井パネルなど、基本仕様は日本モデルと同じだ。
しかし、日本向けはエンジン排気量が1.6リットルだが、イエローキャブでは2.0
リットルに大型化し、力強い走りを好む米国の乗客に対応した。銃犯罪が多い米国
の事情も考慮して、オプションで防弾ガラスも用意している。また、タクシーは一般の
車よりも走行距離が長いため、日産が各タクシー会社に整備方法などを教える体制
も整えている。
ニューヨーク市では現在、トヨタのハイブリッド車「プリウス」など20車種以上がタク
シーとして利用されている。同市が、NV200を独占的に採用することには、地元タク
シー団体から不満も上がり裁判になったが、ニューヨーク州高裁は昨年6月、同市の
判断を「合法的で適切」と認める判決を出した。
日産はイエローキャブ向けをメキシコの工場で生産し、価格は2万9700ドル
(約356万円)。北米日産の広報ダイレクター、トラビス・パーマンさんは「乗り心地
など、評判はいい。毎日約60万人が利用するニューヨークのタクシーは、当社の商
品力を世界中に披露する絶好の機会だ」と話している。【山口知】
◇ミニバンやワゴン主流に
タクシーはセダンタイプが主流だったが、近年は車内の広さなどが好まれ、ミニバン
やワゴンタイプの開発が進んでいる。日産は、1960年から法人向けタクシーとして販
売してきたセダン「セドリック」の生産を終了。今年から国内でもNV200を発売し、法
人タクシー向けの車両として一本化する。トヨタ自動車も、タクシー業界と協議しながら、
ワゴンタイプのタクシー開発を進めている。
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