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赤ちゃんがいる女性に近づき、見知らぬ男が「母乳が出るなら僕に少し分けてもらえませんか?」と声をかける。米シアトルのメディア『KOMO 4 News』が驚くようなニュースを伝え、全米に広まっている。
「奥さん、赤ちゃんがいるんですね。母乳がたっぷりと出ているようなら僕にも分けて欲しいんですが。お金はちゃんと払います。」
ワシントン州シアトル在住のレベッカさんは赤ちゃんを育てているママ。彼女はスーパーマーケットで最近、たくましい体格のジェントルマンからこんな気味の悪い質問を受けた。「母乳バンクというちゃんとした組織があるので、そちらでどうぞ。もっとも分けてもらえるのは赤ちゃんだけですが」と冷たくあしらったレベッカさんに、男性はこう続けたそうだ。
「僕はCrossFitジムの会員で、ボディビルダーとしても活動しています。トレーニングをする前に母乳を摂取するとパフォーマンスの向上が期待できると仲間うちでも評判なんです。あなたも母乳を売ってお金を得てみませんか?」
この男性について『KOMO 4 News』の取材を受けた「Northwest CrossFit」のオーナー、ジェイク・プラット氏は「そんな話は聞いたこともない。冗談でしょう」と一笑に付したが、会員の中からは「確かにそんな話は聞きますよ」という答えも。そして取材班は、母乳を売買取引する『Onlythebreast.com』というウェブサイトを発見した。
その中に男性専用のページがあり、顧客にはいわゆる“母乳フェチ”も多数潜んでいる様子だ。しかし隣接するオレゴン州ポートランド在住だという男性は、「医師の友人から寿命が延びるとすすめられ、健康のために飲みたい」と主張する。母乳は混ざりものがなくフレッシュ、牛乳のような他の動物由来の乳を飲むよりも体に優しいといい、絶対の信頼を置いているという。
その組織を通じて母乳を売るようになった1人が、生後11か月の男児のママで、余った母乳を善意で「BC Children’s Hospital」にも届けているラウズさん。彼女は「3人の男性が私の母乳を買ってくれています。彼らから時々電話がかかってきますが、個人情報を知られたくないのか番号は非通知ですね」と苦笑する。彼女はすでに8万円以上を稼ぎ出し、わが子の大学進学に向けて積み立てられている。
ただしシアトルにある「Swedish Medical Center」で母乳育児支援に関わっている看護師のエミリー・ピーズさん、および「Northwest Mothers Milk Bank」の医療部長ジョアン・ランゾムさんは、「母乳はあくまでも乳児の発育のために作られており、害はないものの成人が求めるほどの栄養価でもない」、「むしろ検査を受けていない女性の母乳によりHIVなどに感染する方が怖い」と話しており、母乳の売買は「The Human Milk Banking Association of North America」のガイドラインに従っている認可団体を通すべきであると強調する。…