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先行き不安、ウクライナ停戦…続く一触即発状態

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先行き不安、ウクライナ停戦…続く一触即発状態

先行き不安、ウクライナ停戦…続く一触即発状態 【キエフ=田村雄】ウクライナ東部で15日、政府軍と親ロシア派の武装集団が停戦に入ったが、その後も砲撃の発生が伝えられている。

  親欧州派、親露派を問わず多くの住民は昨年4月から続く戦闘の停止を切望しているが、停戦の先行きは楽観できない。

  ◆公園に子供

  「砲撃はぱったりと止まった。この状態が続いてほしいと願っているが、いつまで続くのかという不安もある」

  武装集団が支配するドネツク中心地で商店を営む50歳代の男性は15日、本紙の電話取材にこう答えた。

  男性によると、ドネツクでは15日朝から人々が散歩したり子供を連れて公園で遊んだりしており、「こんなに多くの人が町を歩いているのは何か月ぶりかだ」という。

  前線に送られた政府軍兵士の夫(38)の身を案じるキエフの主婦、リュドミラさん(56)は「兵士も市民も死んでおり誰のための戦いか分からない。戦闘をやめてほしいが停戦に期待はしていない」と声を絞り出した。

  一方、1年前のヤヌコビッチ政権の打倒を通じ台頭した極右「右派セクター」のドミトリー・ヤロシ代表は13日、フェイスブックに「分離主義者とのいかなる合意も憲法に反する」と書き込み、武装集団の支配地域への自治権付与を巡る対話を開始するとした12日の停戦合意を批判した。

  戦闘には政府軍とともに民族主義グループの義勇兵も加わっており、こうした強硬派が停戦に従わない可能性もある。

  ◆安全地帯

  政府軍と武装集団はこの後、重火器を前線から後退させ「安全地帯」を作る。ただ、合意には兵士や戦闘員が退去するとまでは書かれておらず、銃を持った兵士らが残る可能性が高い。

  武装集団は1月からの攻勢で、昨年9月に引かれた境界線を越えて支配地を広げた。これを守りたい武装集団と、取り戻そうとする政府軍の間で一触即発の緊張は続く。

  発火点となりかねないのがドネツク州北部デバリツェボだ。ここは政府軍の支配地だが、5000人以上の兵士がいる町は武装集団に取り囲まれている。

  「デバリツェボは停戦から除外されている」

  武装集団の幹部は14日、一方的に主張した。

  ◆カギはロシア

  ドイツのメルケル首相は停戦合意をまとめた12日の声明で「プーチン大統領が武装集団に合意するよう圧力をかけた」と明らかにした。今後のウクライナ情勢のカギを握るのもやはりロシアだ。

  米国や欧州連合(EU)は、ロシアが武装集団に兵力や武器を提供しているとみて警戒している。米国務省は14日、ロシア軍がデバリツェボ周辺に大量の火砲と複数のロケット弾発射装置を配備した証拠とする衛星写真を公表した。

  米欧はロシアに圧力をかけつつ、停戦の実効性を確保したい考え。EUは16日、ロシア政府幹部らに対する追加制裁を、予定通り発動する方針だ。

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