政治そのほか速
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中国に激震が走りそうだ。習近平国家主席が主導する反腐敗運動で、当局の新たなターゲットとしてある大物が浮上した。現地情報筋によると、粛清リストに名前が載ったとされるのは、江沢民元国家主席を後ろ盾とする「上海閥」の実力者で、元軍制服組トップの郭伯雄氏。すでに複数の親族に捜査の手が伸びており、「近々、処分が発表される可能性がある」(専門家)という。再び中南海(中国共産党指導部)に嵐が吹き荒れる。
中国国防省は2日、中国共産党の高級幹部14人が軍の取り調べと処分を受けたと発表した。
その14人の中でとりわけ注目を集めたのが、浙江省軍区副政治委員を務める郭正鋼氏だ。同氏の失脚が話題になったのは、1月に少将に昇格したばかりだったからだけではない。
中国共産党の高級幹部の子弟「太子党」の関係者は、「郭正鋼氏が、『上海閥』の大物として知られる郭伯雄氏の息子だったからだ。郭伯雄氏の周囲では、息子の正鋼氏のみならず、実弟にも当局の調査が入っているとの情報もある。こうしたことから、『虎退治』といわれる習近平政権による反腐敗運動の標的にされたとの見方が出てきている」と話す。
渦中の郭伯雄氏は、「西北の狼」の異名を持つ陸軍の実力者で、江沢民政権時代の2002年に党中央政治局委員、党中央軍事委員会副主席に抜擢(ばってき)された。胡錦濤前国家主席に政権が移っても、役職に留まり、軍内で影響力を発揮した。
中国情勢に精通する評論家の宮崎正弘氏は、「郭伯雄氏の失脚については昨年の夏以降から噂されていた。昨年秋ごろから動静が途絶えており、当局に拘束されているとの情報が出回っている。彼とともに、国家中央軍事委員会副主席を務めた徐才厚氏も昨年6月に収賄容疑で党籍を剥奪されている。旧政権で権勢をふるった2人が同時に反腐敗運動の餌食になった格好だ」と解説する。
郭伯雄氏と徐氏の2人は、ともに「上海閥」のメンバーで、江氏直々の指名で政権中枢に据えられたとされる。同じ派閥に属する大物では、昨年末、「チャイナナイン」と呼ばれる胡錦濤政権下の最高指導部メンバー、周永康・前政治局常務委員が党籍を剥奪され、逮捕されている。
拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏もこう語る。
「近く郭(伯雄)氏の処分について何らかの発表がなされるのではないかとささやかれている。郭氏の失脚が公式発表されれば、胡錦濤政権時代には実現しなかった軍部の完全掌握が完遂されることになる。伏魔殿ともいわれる利権の巣である国有企業の改革も同時に進めており、習氏の独裁体制はますます強固なものになる」
反腐敗運動への国民の圧倒的な支持を背景に、権力固めに邁進(まいしん)する習氏。気になるのは、どの人物を最終ターゲットに置いているかだ。
「周氏、徐氏、そして郭氏となれば、政権中枢にいた『上海閥』は一掃されることになる。最後の総仕上げは、派閥のボスである江沢民氏と電力利権を握る李鵬元首相だろう。中国共産党の腐敗の象徴ともいえる2人に王手をかけつつある」(宮崎氏)
李鵬氏をめぐっては、すでにその兆候が出ている。
今年2月、英金融大手HSBCの機密文書がインターネット上で流れ、同社のプライベート・バンキング部門による富裕層顧客への巨額脱税幇助(ほうじょ)が発覚した。
「スイスリークス事件」と呼ばれるこのスキャンダルで流出した顧客情報の中に、李鵬氏の娘で、中国電力国際発展有限公司の会長を務める李小琳氏の名前が含まれていた。
複数の中国メディアによると、李小琳夫妻は、HSBCの口座に2006~07年にかけて約248万ドル(約3億円)を預け、課税逃れをした疑いがあるという。
「『スイスリークス事件』には、腐敗官僚の摘発に当たる中央規律委員会も重大な関心を示している。すでに李小琳氏の部下らの取り調べを始めたとの情報もある。このスキャンダルをとっかかりにして、李鵬氏を追い詰めていく可能性がある」と宮崎氏。
「赤い帝国」の勢力図が大きく塗り替えられようとしている。