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消えていく、昔のバワリー。
東京でもニューヨークでも、都会の小洒落た街並みの中に「何でここだけ!?」と思うような古い汚い、でも味のある建物がたまに残っているものです。ニューヨークはソーホーのはずれにある「190 Bowery」もそのひとつ。6階建て72部屋の建物はかつて銀行でしたが、今その外観はまるで紛争地域にでもあるかのように崩れかけ、スプレーで描かれた落書きに覆われています。そしてその中がどうなっているか、今までほとんど誰も知らず、不動産業者でも空き家だと思っているほどでした。
Animal New YorkのエディターであるBucky Turco氏が、この190 Boweryを3日間かけて撮影し、公開しています。190 Boweryが売却され、その歴史的価値の高い内装がリノベートされてしまうことがわかったからです。
最近までこの建物を所有していた写真家のジェイ・メゼル氏は、1966年にここを120,000ドル(約1,200万円)で購入しました。当時のバワリーは今のようにお洒落ではなく小汚いエリアで、不動産価格も下がっていたんです。でもそれから約50年、バワリーは変わっていきました。不動産業者がメゼル氏に買い取りをオファーするようになりましたが、彼はそれを断り続けました。画家のロイ・リキテンスタインがここの1フロアを借りたり、外壁にキース・ヘリングがチョークで絵を描いたりしている間、不動産価値はどんどん上昇していきました。そしてついにメゼル氏は今年、その3万5000平方フィート(約3,250平方m)の建物を55,000,000ドル(約66億円)で売却したんです。今その歴史的建造物は、ますます小ぎれいに変わっていく周辺地域と同じ運命をたどろうとしています。
メゼル氏はプライバシーを重んじる芸術家肌の人で、この建物の内部の写真はごくわずかしか公開されていません。New York誌で2008年、かつてメゼル氏が創刊号の表紙写真を撮った縁からか、190 Bowery内部の撮影に成功したくらいです。その記事によると、メゼル氏はここを投資目的で買ったわけではなく、ただ家族と一緒に住むために購入し、住み続けてきただけだったそうです。
なのでTurco氏が今190 Boweryの姿を捉えられたのは、ほとんど奇跡的です。Turco氏は、間もなくリノベートされてしまう建物の最後の姿を、そこにしれっと入って撮ってきたんです。…