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東京⇔富山 2地域居住

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東京⇔富山 2地域居住

 東京⇔富山 2地域居住

 北陸新幹線開業で、東京―富山間が2時間台で結ばれたことで、首都圏在住者が富山との「2地域居住」を始める動きが出ている。災害が比較的少なく、豊かな自然と住環境に恵まれた富山と東京の間を行き来しながら暮らす、新しいライフスタイルだ。

  「移動時間が短縮され、途中の乗り換えもないので格段に便利になりました」

  開業後の先月22日、新幹線を初めて使って富山市を訪れた東京都大田区の田本吉男さん(67)、めぐみさん(67)夫妻は、満足そうに話した。

  夫妻は昨年秋、JR富山駅近くの高層マンションの一室を購入した。立山連峰を背に北陸新幹線を見下ろせる部屋だ。

  新たな住居を本格的に考えたのは、2011年の東日本大震災がきっかけだった。大きな揺れに見舞われた東京の自宅は、壊れることはなかったが、被災者の厳しい避難所生活の様子が報道で伝えられ、自分が被災した場合のことを真剣に考え始めた。

  東京では将来、首都直下地震の発生も懸念されている。「避難生活で気持ちがなえて亡くなる人も多いと聞く。震災から早く自立するためには、ほかに住居を持つしかないと考えた」と吉男さんは話す。

  富山市はめぐみさんの母方の実家があり、親戚も多い。新幹線開業で、東京―富山間は最速2時間8分になったことに加え、同市が中心部に次世代型路面電車(LRT)を導入し、車のない高齢者も安心して暮らせる「コンパクトシティー」を掲げていることにも注目したという。

  同市は新幹線開業を前にした昨年10月、将来の定住人口を増やすことを目指し、市中心部で住宅を取得した県外在住者に最大35万円を補助する制度を創設。田本さん夫妻は背中を押されるようにマンション購入を決断し、適用第1号となった。

  同市によると、新幹線開業直前の3月12日には横浜市、開業後の同16日にはさいたま市の在住者にもそれぞれ補助が決まり、今月6日現在で補助適用者は田本さん夫妻を含めて3組となっている。

  田本さん夫妻は今後も、東京での生活を続けながら、月1回程度、富山を訪れて過ごすつもりだ。陶芸や絵など趣味の仲間を富山に呼ぶ計画も立てており、「自然が豊かで、空気のきれいな富山での生活も楽しみたい」と期待を膨らませている。

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