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西宮市の医療機器製造・販売業「ライトニックス」が、植物樹脂でできた採血針を世界で初めて開発、製品化し、代表の福田光男さん(65)が「ジャパン・ベンチャー・アワード2015」の中小企業庁長官賞を受賞した。環境に優しいとされ、痛みが少なくなるよう形状にも工夫を凝らしているのが特徴。福田さんは「地道な活動が認められてありがたい」と喜んでいる。(藤本幸大)
同アワードは独立行政法人・中小企業基盤整備機構が主催し、新たな事業創出や市場開拓に挑戦する起業家を毎年表彰している。
製薬会社、医療機器メーカーに約30年勤務した福田さんは「体への影響が少なく、子供が痛がらない針を作りたい」と2002年に同社を設立。3人で研究、開発を始め、約10年かけて樹脂製の針「ピンニックスライト」を製品化した。
針の見た目は透明で、素材には手術の縫合糸などと同じで、トウモロコシのでんぷんを乳酸発酵させた「ポリ乳酸」を使っている。
福田さんは痛みの少ない針とするにあたり、蚊に刺されても痛みを感じないことに着目。図鑑などで形状を研究し、蚊と同じようにギザギザにすることで摩擦が少ない針にすることに成功した。
現在は月に約30万個を出荷。糖尿病患者の血糖値検査や、子供の感染症の検査など、微量の血液を採取する際に用いられている。昨年末には米国やシンガポールなど、海外にも輸出を始めた。植物樹脂のため、焼却処分も可能で、同賞では、患者の負担軽減と廃棄物問題の両方の解決に貢献すると評価された。
今後はワクチン用の針も開発する予定。福田さんは「利用している人たちからも喜んでもらっている。今後も西宮から社会に貢献できる製品を生み出したい」と話している。