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ハワイのW・M・ケック天文台とパンスターズ1望遠鏡を利用する科学者が、秒速約1,200km、時速約430万kmで移動する星を発見した。これにより星のスピード記録が塗り替えられた。
あまりの速度ゆえに、銀河の重力から脱出できるほどだ。他の既知の脱出を果たした星々との比較から、このコンパクトな星は熱核反応超新星の爆発によって、近接し合った連星から排出されたものであることが明らかにされている。この結果は、『サイエンス』誌の3月6日号に掲載された。
一般的には、天の川の中心にある超巨大ブラックホールとの接近が、銀河の外へ蹴り出される星々の最も妥当な仕組みと推測されている。
ヨーロッパ南天天文台のステファン・ガイアー氏らは、10m光学近赤外線望遠鏡ケックIIにエシェル分光撮像装置を装着し、「US 708」という既知の高速度星を観測した。その目的は、その視線沿いの距離と速度を計測することである。デジタルアーカイブからの位置測定と、パンスターズ1による調査の最中に撮影されたイメージから新たに計測された位置とを慎重に組み合わせることで、星の速度の接線成分を引き出すことができた。
この計測結果をまとめた結果、研究チームはこの星が秒速約1,200kmで移動していることを突き止めた。これは天の川銀河内でこれまで知られていた星の速度を遥かに凌駕するものである。さらに重要なことは、US 708の軌道が、銀河中心にある巨大ブラックホールはその超高速の原因ではないと示唆していたことであった。
[画像を見る]
US 708の排出の原因となった二重爆発超新星の前にあった物質移転フェーズの想像図。ここでは超新星(中央下)と排出された星(左)が同時に描かれているが、実際には、星が図の位置に達するはるか以前に超新星は消えて無くなっているはずだ。
US 708にもう1つの奇妙な特性があった。他の超高速星と大きく異なり、高速で回転する圧縮されたヘリウム星であり、付近の伴星との相互作用により形成された可能性が高かったのだ。したがって、US 708は元々超コンパクトな連星系に属していた可能性があり、ヘリウムを巨大な白色矮星伴星に送り込み、最終的にIa型超新星という熱核爆発を引き起こしたのかもしれないのだ。このシナリオでは、崩壊した連星からUS 708のような生き残った伴星が凄まじい勢いで排出され、超高速で移動するにいたったことになる。…