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●魔女役にかけた思いと歌への愛
「年々、人間に対する好奇心が湧くんです。役を演じれば演じるほど、もっと知りたくなる」。これまで数々の役を演じ、『ソフィーの選択』(1982年)、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011年)でアカデミー賞主演女優賞を獲得、『イントゥ・ザ・ウッズ』で自身が持つアカデミー賞ノミネート回数最多記録を19回に更新するなど、輝かしい実績を誇るメリル・ストリープだが、65歳になった今でも、飽きるどころか、ますます演じる楽しさを感じているという。
公開を迎えた、おとぎ話の主人公の”その後”を描いたディズニー最新ミュージカル映画『イントゥ・ザ・ウッズ』では、魔女役を熱演。『マンマ・ミーア!』で美しい歌声を披露したことも記憶に新しいが、本作でもその歌声を存分に発揮している。先日来日した際に、本作の魅力やミュージカルの醍醐味、演技に対する思いなどをインタビュー。話の中で、挿入歌を歌ってくれたり、人のマネをして笑わせてくれたり、温かくて気さくな人柄も伝わってきた。
――過去に何度か魔女役を断られたことがあるそうですが、本作の魔女を演じたいと思った理由を聞かせてください。
40歳になったとき、1年で3回も魔女役のオファーを受けたけれど、それが私のキャリアの行き先なのかと理解したわ。業界の人たちは一定の年齢を越えた女優をどう扱っていいか分からないのね。だから私はそのオファーを断って、それ以来、魔女役には「ノー」と言い続けてきました。だけど、この役で気持ちが変わったのは、この魔女がほかとはかなり違うものだったから。何よりも彼女は変化する。彼女の存在理由は、彼女にかけられた呪いを解くためだけにあるんです。彼女はありとあらゆる手段をつくし始め、あらゆる人々の人生に劇的な変動をもたらせるの。
おとぎ話というものは、訓戒の話から発展したものだと私は信じています。子供たちを怖がらせることで、人生で遭遇する可能性のある危険から遠ざけたり、若い女性にリッチな男性と結婚することを奨励したり。誰もが王子様を見つけて末永く幸せに暮らすことを奨励されるけれど、そううまくは行かないことだってあるんです。そこで『イントゥ・ザ・ウッズ』のおとぎ話は現実的なものとなり、本当にエキサイティングで、デタラメで、奇妙で、ほとんどリアルな人生と同じようになっていく。役者として、それはものすごく楽しいことだわ。…