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2015年4月19日、タイで最も大きな闘鶏場『バンコク・コックピット』を見てきた。
【その他の写真:闘うためだけに育てられた軍鶏が突き合い、蹴り合う。風を感じるほどスピード感があり迫力もある。】
スワナプーム国際空港よりもやや東のルアンペーン通りにあった。広大な駐車場の中にある闘鶏場はローマ時代の円形闘技場を彷彿とさせるすり鉢状で、人工芝を囲うように大勢の男たちが鶏の闘いを見守っていた。
この『バンコク・コックピット』はプロ闘鶏家用のコロシアムとアマチュア用の小さな闘鶏ブースが6つある会場のふたつで構成されている。
コロシアムは賞金が20万バーツ(約80万円)から100万バーツ(約400万円)を超える大きな試合が開催され、アマチュアの方は2000バーツ(約8000円)から3万バーツ(約12万円)程度の賞金をかけて大切に育てた鶏を闘わせている。一度負けると戦意喪失し闘鶏として使えなくなるため、飼い主たちは真剣である。
闘鶏家たちは賞金と名誉のために闘っているが、観客のほとんどは勝敗に金を賭けたギャンブルとして観戦している。タイではギャンブルは禁じられているが、ムエタイと闘鶏、闘魚は会場が政府から認可を受けていれば、その敷地内では合法となる。
目の前で観る闘鶏は残酷でありながら、躍動感と迫力はすごかった。大柄な鶏なので、目の前で飛び上がり、素早く蹴りを繰り出す姿は圧巻だ。
しかし動物の勝負。1試合が最大で22分の間に鶏が戦意喪失するか逃げ出すことで勝敗が決まるのだが、決着がつかない勝負も多い。タイの闘鶏は基本的には爪はテープで巻いて致命傷を与えないようにしている。しかし、しなやかな筋肉から繰り出される攻撃は強烈で、最後には羽が大量に抜け落ち、傷だらけになっていた。
勝利した軍鶏は価値が上がり、数十万から数百万バーツの値がつく。タイには5誌以上の闘鶏雑誌もあるほどで、勝ち星が多い鶏やその血を受け継いだひよこの売買広告が掲載されている。
闘鶏は世界的に見ても紀元前からあったといわれ、タイもスコータイやアユタヤ王朝時代から親しまれている。賭け方は割合を手の形で指し示しながら行うので、外国人は手を出さない方がいいだろう。しかし、観る分にはおもしろいので、機会があればぜひ訪れてほしい。
【執筆:高田胤臣】