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完封勝利を挙げたFC東京 [写真]=瀬藤尚美
指揮官の母国では“ウノゼロ”、野球でいえば“スミイチ”といったところか。結果として“イチゼロ”に終わった試合後、守備の国イタリア出身のマッシモ・フィッカデンティ監督は、賛辞の言葉を口にした。
「後半にあったPKのチャンスの後、本来ならば選手たちが恐怖心を持つような時間帯でも、非常に落ち着いてプレーを続けたことは素晴らしかった」
4日に行われたJ1の1stステージ第4節、FC東京はヴァンフォーレ甲府を1-0で下した。63分に訪れたPKのチャンスを含めて、シュートがポストを叩くこと2度。一方、同点を狙う甲府は、189センチの長身を誇る盛田剛平を狙ってロングボールを蹴り込んでくる。
「恐怖心」という表現も思わず頷けるような流れながら、しっかりと勝ち点3を掴んだ。「後半は相手がどんどんロングボールを多用して押し込んできたが、しっかりとオーガナイズされた状態で対応できた」と指揮官が口にすれば、主将の森重真人も「チームとしては90分間通して安定していたと思う。守備のところで全員で最後に踏ん張れた」と振り返る。
チャンスを作りながら追加点を挙げられなかったが、甲府のシュートを4本に抑え、決定機すら与えなかったところが勝敗のミソか。15分にロングボールに抜け出し、左足で決勝弾を蹴り込んだ石川直宏も、守備で最後まで相手を追い回した。「これが今年目指している形。追加点を取っていれば一番いいが、最後までみんなが体を張って守り切ったので、価値ある勝利だった」と、充実感を漂わせる。
今季は、開幕戦でこそ2失点を喫したが、現在3試合連続無失点中。最後尾に構えるGK権田修一が語った「今日の試合で言えば、ゼロでしか勝てなかった。守備をしっかりしないで上にいるチームはない」という言葉も、手応えの裏返しか。
2ステージ制となり、早くも1stステージの約4分の1を消化。タイトルに向けて、2勝2分けと悪くない出だしとなった。ところが、母国なら礼賛されそうな試合展開にも、指揮官は「はっきりしているのは、攻撃面で少し精度が足りなかったところ」と改善点も忘れない。DFながらチーム最多のシュート4本を放った森重も、「PKの時点で自分が決めていればもっと楽に試合を進めていたと思う。ヘディングがポストに当たったシーンもあったので、自分が試合を難しくした」という猛省ぶり。
フィッカデンティ体制の2年目。“イチゼロ”の更なる上を目指し、伸びしろもまだまだありそうだ。
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