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衝撃の2ゴール。そして一気に膨れ上がる歓喜の輪。ジュビロ磐田の元イングランド代表ストライカーが、ついにそのベールを脱いだ。
8日に行われたギラヴァンツ北九州とのJ2開幕戦。17分に直接FKから先制点を許した磐田は直後の18分、アダイウトンのロングパスに鋭く飛び出したジェイが、飛び出してきた相手GKよりも素早く右足で触れると、そのままボールが無人のゴールへ転がって同点に追いつく。「ピッチが濡れていたので、最初にコントロールしたボールがイレギュラーした。ラッキーだった」という新エースのJリーグ初ゴール。続く37分には「ヨシ(太田吉彰)が素晴らしいクロスを上げてくれた。自分はフリックしてコースを変えただけ」と謙虚に振り返るヘディングでチームを逆転に導いた。初めてサックスブルーのユニフォームをまとってサポーターの前に立ったゲームで、圧倒的なインパクトを残すことに成功した。
身長190センチの新エースを「ギリギリまで隠したい」と考えた名波浩監督は、ライバルチームがスカウティングに訪れるであろう開幕直前の練習試合を非公開に設定。「開幕したら仕方がない」とは考えつつ、情報漏れを極力避ける段取りをつけてスタートダッシュに備えた。まずはその成果が実った形だ。
初めてジェイを目の当たりにした北九州の柱谷幸一監督は「規格外の高さとパワー。J1でも十分に通用するレベル」と評価した。
敵将にそう言わしめたポテンシャルは、試合中の至るところで発揮された。前半には縦パスを受けた瞬間に軽快なルーレットで背負っていた相手DFをかわしてサイドへ展開。パスコースへ積極的に顔を出し、懐の深いポストプレーや高身長を生かしたヘディングで前線のターゲットとなった。背後からのプレッシャーをものともしないパワーは、まさにイングランド仕込み。名門アーセナルで育ち、各年代のイングランド代表で中心選手として活躍した実績がダテではないことを証明した。
チーム始動から3週間遅れて合流したこともあり、まだ90分間プレーできる体力は持ち合わせていない。実際、この試合でも後半は明らかに運動量が落ちた。ジェイ自身も「練習試合だけでは100パーセントには持っていけない。本番を重ねてコンディションを上げていきたい」と語り、名波監督も記者会見で「まだ8割くらいの状態」と現状に触れている。だが、指揮官は合流初日からしなやかなボールタッチを見せていたジェイに「やっぱりアーセナルだよ」という第一印象を持ち、さらに「決定力やボールの収まり方はトト(スキラッチ)並み」と、かつて一緒に黄金時代を築き上げた元イタリア代表FWの名前を挙げる。…