政治そのほか速
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2010年にフィンランド沖でダイバーが170年前の沈没船からビールとシャンパン見つけて味見して話題になりましたけど、あの本来の味が科学分析で明らかになりました!
最初の味見では異様に酸っぱくて鼻が曲がるってなもんで、元の味は誰にもわかりませんでした。そこで鼻でダメなら機械ということで、 フィンランド国立技術研究センターの化学者たちが回収されたうち2本を分析にかけてみたのです。
ビールの名前は「A56」と「C49」。分析に入る前に一応利き酒もやって感想を記録に残したんですが、文面からは恐ろしく不味い酒だったことがわかります。
注ぐと気泡(おそらく二酸化炭素)ができ、少し泡立った。ビールは両方とも明るい黄色で少々濁っている。どちらとも自己消化酵母、硫化ジメチル、ベークライト、焼けたゴム、熟成し過ぎたチーズ、ヤギ、石炭酸、硫黄の臭いがする。
ヤ、ヤギ…。しかも瓶の中は塩分が通常より高く、明らかに海水で薄まっていました。
解析では現代の化学技法を用いて、ビールを化合物ごとに分け、それを電界に通して加速することで分子構成を調べてみました。つまり酸味、塩味の向こうにある大元の構成を調べてみたんです。
すると、A56とC49は明らかに別々のビールでした。C49の方がずっとホップが効いてて苦かったんです。酵母の風味の元の化合物(ビールにフルーティーな花の香りを与えるもの)を調べてみたら、C49は緑茶の香りの化合物の濃度が高く、一方、A56はバラの花と甘いりんごのフレーバーが強いこともわかりました。
ビールの味が今と違うのは、19世紀の醸造法が現代と違うからというのも一因です。たとえば、A56にはフルフラールという化合物が多く含まれているのですが、これは麦芽汁を焚き火にかけて熱した結果こうなったとも考えられます。あと、どちらとも最初から今のビールより酸味は強かったんですが、醸造所が酸味の元になる菌をビールから取り除く方法を見つけたのは、19世紀後半に入ってからなので、無理もないですよね。そのブレイクスルーがくる前のビールは、A56もC49もみな酸っぱいビールだったのです。
沈没船の発見当初、現場ではビールを分析して今に再現するという期待もかかっていたんですが、「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に今回発表された報告には、生きた酵母細胞がビールから見つかったという記述はどこにもありません。…