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ベストセラー『統計学は最強の学問である』の著者であり、ビジネスにおけるデータ分析の専門家として知られる統計家の西内啓氏が、インフォテリアで常務執行役員を務めた経験を持つ油野達也氏(代表取締役CEO)や、投資家・ブロガーとして活躍中の山本一郎氏(財務担当取締役CFO)とともに、昨年末、データ分析専門の新会社データビークルを設立した。
2015年4月には、同社初のプロダクトであるデータ分析ソフト『DATA DIVER』を正式リリース。これから事業は本格稼働することになる。
長らくアカデミックな世界で医療や社会保障をテーマに統計データと格闘していたはずの西内氏が、なぜ新会社の創業に参画したのか。実機を使ったハンズオンセミナーで忙しい西内氏を訪ねた。
プロフィール
統計家 株式会社データビークル取締役
西内 啓氏
東京大学医学部(生物統計学専攻)卒業後、東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2010年よりさまざまな企業のデータ分析プロジェクトに携わる。2014年11月、株式会社データビークルの創業に参画し、取締役に就任。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員も兼任する
「成果が出せない」という声にどう応えるか
データビークルのWebページ
「2010年にアメリカから帰国した後、知人のご紹介などから、ずいぶんいろいろな企業のデータ分析をお手伝いさせていただくようになっていました。ただ『統計学は最強の学問である』を出して以降、企業にお勤めの方からの問い合わせや引き合いが増えたのは確かです」
西内氏は、知人以外に連絡先を公開していなかったことから、著作を通じて西内氏を知った読者からの相談が出版社に届くことが度々あったと言う。
「そうしたご縁から実際にお話を聞いてみると、『分析ツールを購入したし、優秀なコンサルや専任担当者も雇ったのに一向に成果が出ない。どうしたらいいのか』という、切羽詰まった現場担当者の苦悩をたくさん伺うことになりました」
統計学の専門家として、こうした声に対して何とか応えたい。自分1人で多数の企業の課題にあたる生活は多忙を極めた。しかし、だからと言って、数多くの人材を抱えて「人月商売」をする気にもなれない。
「これまでの知見やノウハウを使えば、短期間でデータサイエンティストを育成することも、企業に派遣するようなビジネスもできたでしょうが、自分の関心はそこにはありませんでした。…