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米ウォールストリートジャーナルや英ロイター通信などの海外大手メディアが2月中旬、「米アップルが独自の電気自動車(EV)開発のために技術者を各方面から大量に雇い入れている」と報じた。その数は1000人規模に達するという。アップルがEVに興味を持っているという噂は2年ほど前からあり、シリコンバレーの地元新聞やIT系メディアで「EV専業メーカーの米テスラとアップルの幹部が接触した」と報じられていた。それが今年に入り、IT業界関係者の多くから「サンフランシスコ周辺で、アップルのEVテストカーが走っているところを見た」という証言が相次いでおり、この話はもはや噂の域を超えている。
ではどうして今、アップルは自動車産業に参入しようとしているのだろうか。
●理由その1:大きな通信端末として
情報通信と情報工学が融合するテレマティクス分野において、米国のアップル、グーグル、マイクロソフト、インテル、エヌビディア等の大手IT企業間で攻防が激しくなっている。中でも2014年1月にグーグル、米ゼネラルモーターズ(GM)、独アウディらが中核となり結成したコンソーシアムOAA(オープン・オートモーティブ・アライアンス)の影響が大きい。
OAAは二段構えの考え方で、第一段階はグーグルのAndroid OSを持つ通信端末とクルマとの接合性に関する独自ルールAndroid Autoを業界標準化する。そして第二段階として、自動車側のエンターテインメント系制御ネットワーク自体をアンドロイドOS化するというものだ。
こうしたグーグルの動きに対抗してアップルは14年3月、「スイス ジュネーブモーターショー」で自動車とiPhoneとの新しい接合方法CarPlayの実機を発表している。だが、iOSを自動車側の制御ネットワークに組み込む可能性について、アップル側はこれまで発言をしていない。
運転者や他の乗員にとって、クルマの中にいても家庭や職場と同じ環境でソーシャルネットワーキングサービス(SNS)や情報収集をしたいと思う。また、自動車にはエンジン、エアコン、ナビゲーション等向けで合計100個前後のCPU(中央処理装置)が組み込まれており、運転者の行動を知るうえでのデータが集約されている。
つまり、アップルやグーグルにとって自動車は「大きな通信端末」といえる。CarPlayとAndroid Autoは、北米で今年発売される日米欧韓の新型車に続々と採用されている。…