ソース（毎日新聞）　http://mainichi.jp/shimen/news/20150421ddm004070011000c.html

　米カリフォルニア州グレンデール市が２０１３年７月に設置した従軍慰安婦像に対し、在米日本人団体が「地方自治体が外交に関与する
のは違憲」として市に撤去を求めた訴訟は、連邦地裁に続き、近く州地裁でも棄却される見通しだ。２月２３日、訴訟自体が「言論妨害」だと
批判され、言論妨害を禁止する州の「反スラップ法」適用が決定されたためだ。米国に飛び火した日韓の歴史問題は、人権問題を経て、
いまや「表現の自由」に関わる米国の憲法問題にエスカレートしている。

　反スラップ法適用を決めたカリフォルニア州地裁の決定文書は、冒頭から裁判官による批判で始まった。

　「１９６０、７０年代は米国で、何百もの自治体が米国のベトナム戦争関与に反対表明をした。最近では、１９１５年のオスマン・トルコ帝国
によるアルメニア人虐殺に対する解決促進決議もあった。原告の主張が正しいなら、全米で歴史的に繰り返されてきた活動が違憲になるが、
それはありえない」

　高額の弁護費用を払えない市民に圧力をかける目的で大企業や自治体が提訴することを防ぐ反スラップ法が、地方自治体を訴えた
市民団体に適用されるのは異例だ。日本政府が米国の出版社に歴史教科書の慰安婦関連の記述削除を求めたことに対し、米国務省や
歴史学者が相次いで懸念を表明したのが２月上旬。反スラップ法適用は、米国内で日本政府の動きが「歴史修正主義」ではないかと
反発が強まった直後だった。

　慰安婦像設置を市に働きかけた在米韓国人団体「加州韓米フォーラム」のフィリス・キム幹事は「日本政府が出版社に圧力をかけて
くれたおかげで、慰安婦問題が、米市民がもっとも敏感に反応する『表現の自由を守る戦い』に格上げされた」と皮肉り、日本政府が強硬に
なるほど米社会の反発は強まるとみる。

　慰安婦像反対訴訟は、「慰安婦像が全米に広がるのを阻止したい」と、目良浩一・南カリフォルニア大元教授らロサンゼルス周辺に住む
日本人が「歴史の真実を求める世界連合会」を結成し、昨年２月に連邦地裁に起こした。当時、東海岸には韓国系が多く住む小都市を
中心にいくつか設置されていたが、西海岸のカリフォルニア州ではグレンデール市が初めて。提訴直後に設置の動きは鈍化したが、
昨年８月に連邦地裁で訴訟が棄却されると、同州南部フラートンの市議会が博物館に設置の検討を委ねる決議を採択するなど、再び
活発化した。連邦地裁での敗訴後に提訴した州地裁でも原告の敗訴が確実となったことで、設置の追い風となる可能性もある。

　原告代表の目良氏は「慰安婦は売春婦だ」と主張していた。「勝利するには日本政府の大胆な動きが必須だ」と、政府に河野談話の破棄
を求めた。

　カリフォルニア州は人種のるつぼだ。多文化共存社会を目指さなければ地域はなりたたない。グレンデール市は人口約２０万人のうち、
白人５割、アルメニア系３割、アジア系２割弱。人口約１５万人のフラートン市は白人５割、中南米系３割、アジア系２割で、各人種が
それぞれ存在感を持つ。いずれの市でも韓国系は１割に満たない。しかし、慰安婦問題を、戦時中の人権侵害や女性への性暴力と
とらえることで、他のマイノリティーや女性団体に連帯の輪を広げている。

（>>2以降に続く）

写真＝国際女性デーにグレンデールの慰安婦像前に集うフィリピン、タイ、中国、日系の女性団体代表ら
＝米カリフォルニア州グレンデール市の中央公園で２０１４年３月８日、堀山明子撮影
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写真＝サンフランシスコ市中華街にあるポーツマス広場に置かれた「民主女神」像。公園内には、南京虐殺や慰安婦関連の記念碑設置
が検討されている＝２０１５年３月１４日、堀山明子撮影
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地図　http://img.mainichi.jp/mainichi.jp/shimen/images/20150420dd0phj000214000p_size6.jpg

※スレ立て時に全文閲覧確認済…04/22　1：27