93年のJリーグ開幕時に三浦知良、ラモス瑠偉、武田修宏らと並んで人気者だったFW藤吉信次が指導者として19年ぶりに東京ヴェルディに帰ってきた。
ユース監督として1月から選手を指導、「毎日が楽しくて仕方がない」という。
午前中はトップチームの練習の手伝い、午後はスクールの指導、そして午後5時40分からユース監督として37人の選手を見る。
休みは月曜日だけとハードだが充実している。
「感覚が一緒なので、教えていてもやりやすい。トップチームはいろいろと変わっても、アカデミーのDNAは僕がいた時のものが残っている。
だから、サッカーを教えていてストレスがない。こんなチームは他にないでしょう」。
個性とテクニックを重視し、攻撃的で見ていて楽しいサッカーが前身の読売クラブ以来の伝統。
うまい選手がハードワークするサッカーを目指している。
トップチームは試行錯誤しているが、アカデミーは同じスタイルが続いている。
読売クラブで育った藤吉監督は選手と同じ目線、感覚でサッカーを教えることができるのだ。
早くも結果が出た。2月7~8日の東京都クラブチームの新人戦で東京Vユースが優勝。
「うちらしいサッカーではなかった」と言うが、藤吉監督就任後、初の大会でいきなりの快挙だ。
「うちの選手はサッカーIQが高い。練習でやっていなくても、ちょっと指示するとできる。
子供の頃から、ちゃんとサッカーを教わっているし、取り組む姿勢がいい。
規律もしっかりしていて、プロ予備軍としての意識が高い」。こう選手を褒める。「僕の前の指導者のおかげ」と、先輩への感謝も口にした。
V川崎から96年に京都へ移籍、仙台、FC琉球、中国の成都足球倶楽部五牛隊、北九州でプレーし、09年限りで引退した。
北九州のコーチとして指導者の勉強をし、昨年S級ライセンスを取得。
直後に古巣から声がかかった。「いつか帰りたいと思っていたが、いいタイミングだった」と、関係者に感謝する。
44歳と若く、選手の良き“兄貴分”でもある。選手と一緒にボールを蹴れる。
だが、厳しさも忘れてはいない。監督に就任すると、さっそく選手全員に目標を書かせた。
「僕が目標を決めるより、選手1人1人が目標を決めた方がいい」。
高円宮杯優勝やプレミアリーグ昇格などと書いたが、それをロッカーに張り、毎日見えるようにした。練習メニューにも常に競争の要素を入れている。
現役時代はひょうきんな選手として知られ、テレビのバラエティー番組にも出演したが、当時からサッカーには真摯だった。
名波(磐田)相馬(町田)ら、同年代の監督も増えてきた。
「同じ世代の人がやっていると、刺激になる」と、藤吉監督は燃える。
いつか、自らが育てた選手を率いてトップの監督として戦う日が来るかもしれない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150215-00000119-spnannex-socc
スポニチアネックス 2月15日(日)18時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150215-00000119-spnannex-socc.view-000
ヴェルディに帰ってきた藤吉監督