◇参院予算委員会で答弁
　
　　籾井勝人・ＮＨＫ会長が、慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた１９９３年の河野洋平官房長官談話は「国の方針ではない」と発言した問題について１６日、ＮＨＫの板野裕爾専務理事は「河野談話が閣議決定されていないこともあり、政府方針として判断するのは難しいという思いで発言した」と述べた。衆院総務委員会理事懇談会で説明した。
　
　　ＮＨＫ関係者によると、籾井会長は今年１月９日の国際放送番組審議で「安倍（晋三）首相が安倍談話を出せばこれは国の政策だが、河野談話はそうではない」と発言した。
　
　　２００７年に政府が閣議決定した答弁書は、河野談話を「閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承している」としている。ＮＨＫが公表した議事概要では籾井会長の発言は省略されていた。
　
　　またこの日の参院予算委員会では、籾井会長の私用ハイヤー代の請求問題も取り上げられた。籾井会長は小川敏夫氏（民主党）の質問に「最初から自己負担するつもりだった。請求が来て金額が分かった時点で支払った」と答弁した。
　
　　だが、関係者によると、籾井会長が代金数万円を払ったのは、ＮＨＫがハイヤー会社への支払いを済ませ、監査委員会がこの問題について調査を開始した今月９日だったという。
　
　　公共放送トップとしての資質が疑われる言動が相次ぎ、野党は籾井会長を厳しく追及する構え。ＮＨＫの１５年度予算案が年度内に承認されない可能性が出てきた。承認されなかった場合、暫定予算の編成は３５年ぶりとなる。【望月麻紀、須藤唯哉】