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近年、日本に大量に押し寄せる中国人観光客は、酒を飲んで盛り上がる花見スタイルに興味を示し、今年も名所観光、飲食、買い物をセットにしたツアーが多数組まれているという。
東京・千代田区の靖国神社も桜の名所としても知られ、3月下旬から屋台が並び多くの花見客で賑わう。だが、「A級戦犯が合祀された神社」として中国で批判されているだけに、さすがに花見目的の中国人観光客は少ない。
上海の旅行代理店スタッフも、「団体ツアーの旅程はすべて地元当局に申請して許可を取らなければならないから、靖国神社を行き先に入れることはまずない」とする。
ところが、表立ってツアーこそ組まれないものの、花見目的で訪れる中国人は少なくないのだ。中国版ツイッター「微博」上には、
〈ふと思い立って靖国神社に行ってみたが、思っていたのとは違って、ただの静かな公園のような場所だった。お守りや桜を買いたいと思ったが、帰国してから激怒されると思ったのでやめた〉(2015年3月、中国人女性のツイート)
といったものがある。例年、桜の季節に靖国神社に出店する屋台業者はこの数年で中国人団体客を見るようになったとする。
「昼間に大型バスが横付けされて中国人観光客が降りてくるのを見かけます。その時は歩いて桜を眺めただけで帰っていきました。今のところ大人数で酒を飲んで盛り上がるようなところは見たことがないが、去年は旅行代理店を通じて中国人団体ツアー客から席を予約したいとの申し込みがありましたよ」
結局、その予約は成立しなかったというが、「今年は状況によっては中国語の案内なども考えないといけない」(同前)とする。靖国神社で中国人観光客が大宴会という奇異な光景が見られるかもしれないのだ。ジャーナリスト・富坂聰氏はこういう。
「中国では日本のようにそこかしこに桜が咲いているわけでもなく、日本のように桜の下で飲み食いをする風習はありませんから、これまでは日本の桜の名所でも歩いて写真を撮るだけで終わっていたのでしょう。
ただ中国の場合、酒席となると周囲の人を気にせず大声で話すスタイルが浸透しています。花見で酒を飲むという日本の風習を知り、花見酒を楽しむ観光客が一気に増えるとも考えられます。
そうなれば、騒々しいと苦情を受けるケースや場所取りという概念を知らないので、あらかじめシートで仕切られた他人の場所に入ってしまうトラブルが頻出するでしょう」
そうした事態に備え、靖国神社ではどのような対策を取っているのか。…