政治そのほか速
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◇売却益を充当 1株1050円も23日終値は456円
会計検査院は23日発表した報告書で、東京電力福島第1原発事故に伴い、国が肩代わりした除染費用2.5兆円を、政府保有の東電株の売却益で回収するためには1株1050円で売却する必要があると指摘した。しかし、この日の終値は456円。株価が伸び悩めば、国が立て替える総額9兆円の賠償・除染費用全体の回収に約30年間かかる可能性があると試算し、会計検査院は「東電の財務基盤を回復する必要がある」と指摘している。
政府は2013年12月、除染費用を国費で立て替え、原子力損害賠償支援機構が保有する東電株(簿価1兆円)の売却益で回収する方針を閣議決定した。当時500円前後の株価が東電の経営再建により値上がりすることが前提だったが、その後は足踏みが続く。
東電は15年3月期に2期連続の最終(当期)黒字を確保する見通し。しかし、黒字は年間8370億円に上るコスト削減に依存。一方、収益改善の柱と見込む柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は見通しが立っておらず、「黒字が持続可能な状態ではない」(東電幹部)のが実態だ。
そのなかで、東電は他社との提携戦略で収益力向上を目指す。中部電力とは燃料調達・火力発電を一体的に手掛ける共同事業会社の設置で合意した。しかし、提携が最終合意した2月以降も株価は伸び悩んでいる。
市場からは「部分的な事業提携では収益力の大幅な向上は期待できない。株主配当を再開する見通しもないなかで、株価の右肩上がりは見込みにくい」(カブドットコム証券の河合達憲チーフストラテジスト)と、株価1000円台の実現を疑問視する指摘もある。
株価が伸び悩めば、国が東電に支払う総額9兆円の賠償・除染費用の回収も長期化する。会計検査院の試算では、東電株の売却益が予定通り2・5兆円だった場合、9兆円の全額回収は39年度になる。一方、平均売却額が1株750円だった場合、売却益は1.5兆円。残りは電力会社が毎年度支払う負担金や、東電の支払う特別負担金で穴埋めするため、全額回収は44年度にずれ込む。東電への支払いは国債で交付するため、借り入れに伴う利息約1264億円は事実上、国民の負担になる。【安藤大介】