一般社団法人日本家族計画協会が実施した「男女の生活と意識に関する調査（第7回）」によると、「20歳の男性の50％にセックスの経験がない」という結果が出ている。ちなみに、女性のセックス経験率が50％を越えるのは19歳。セックス経験率が70％を越えるのは男性24歳、女性22歳となっており、男性がセックスに対して消極的になっていることが読みとれる。この調査は2002年から計7回行われているが、2012年までと比べると、2014年は童貞男性が増加傾向にある。

　世に増えつつある「童貞」。彼らは童貞であることをどう捉え、そして童貞を疑われたとき、どう切り抜けているのだろうか？　

「童貞卒業は一種のイニシエーションです。発展途上国だと、バンジージャンプや抜歯をして大人の男として認められます。日本も昔は、男子が年頃になったら村の年配女性により筆おろしの儀式があったり、夜這いがあったりしました。でも、現代人はただ成人式に行くだけじゃないですか。童貞が増えているのは、自由恋愛時代の象徴だと思います」

　そう語るのは、自身6年間男子校に通った経験を持ち、著書に『童貞骨牌』（エンターブレイン刊）のある童貞文化研究家の漫画家、凸ノ先生。今回は凸ノ先生に、「童貞がバレそうになったときのうまい言い訳」について教えてもらった。

●経験人数は「1人」か「2人」にしぼってバシッとウソをつく

「男同士で性的な話題になった際、童貞は経験人数をぼかして人数をあいまいに答えます。しかし、ウソはバシッとつきましょう。経験人数は1人か2人に絞っておくのがベストです。また、ウソがつけない方は、思い切って童貞であることをカミングアウトしましょう」（凸ノ先生）

　AV男優のように経験人数が多過ぎる人の場合に「だいたい1，000人くらいかな」と答えるのは分かるが、一般男性ならそれなりの人数なので覚えているはずである。

●仲の良い友達のエピソードを丸々もらう

「誰とどこで初体験を済ませたかというような踏み込んだ話題になると、童貞は答えられず『酔っていたから覚えていない』など言ってごまかします。それでは童貞であることがバレバレですので、仲の良い友達の初体験エピソードを丸々いただいちゃってください。例えば、高校2年生の頃、部活の後輩の女の子と自分の部屋で……のように。このとき、一切とまどってはいけません」（凸ノ先生）

　なるほど、人のエピソードならばリアル感がある。ただし、エピソードをもらった友人の耳に入ってしまうと疑われそうな気もする。

●詳細を聞かれたら「フツーだった」と答える

「初体験はどんなプレイだったかなど、友達からエピソードとして聞かせてもらっていないことにまで話がおよんだら、『フツーだった』と答えるに限ります。AVなどで仕入れた余計な知識を盛り込むと、一気にリアル感がなくなって童貞臭が漂います」（凸ノ先生）

「フツー」という言葉は、あいまいな表現のようで、実はあいまいさを回避できる言葉でもある。話を変に盛ってしまった方が作り物っぽい印象になりそうだ。

●でも……ウソはつかないにこしたことはない！

「童貞であることを隠したがるのは、非童貞が年々マイノリティーになっていくからです。しかし、できればウソはつきたくないところです。ウソをついた先に幸せなんて訪れません。童貞は男なら誰しもが通った道。男は童貞のことが好きで、何とかしてあげたいと思っています。それに、童貞を卒業したって、男はいつまでも『セックスが下手』と言われるのを恐れているものですよ」（凸ノ先生）

　女性と性行為をすれば形式上、童貞を卒業したことになりますが、非童貞になってもセックスが下手と言われるのを恐れているとは、男性はみんなどこかに「童貞性」が潜んでいるのかもしれない。童貞の方は、童貞であることを隠したい場面に出くわした際、凸ノ先生の教えを参考に乗り切ってみてはいかがだろうか。

【取材協力】凸ノ……大阪府出身。イラストレーター、漫画家。童貞文化研究家。将来の夢は吉高由里子さんと鳥貴族に行くこと。

（取材・文／姫野ケイ）