政治そのほか速
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敦賀気比は29日の準々決勝で静岡(静岡)を今大会初のサヨナラ勝ちで破り、昨夏から2季連続でベスト4に進んだ。先制後、五回に追いつかれたが、九回にサヨナラ打で粘る静岡を退けた。昨秋の北信越、東海両大会の覇者による雨中の対決を約2万3000人が見守った。準決勝は大会第10日の第1試合で、夏春連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)と対戦する。
初回、先頭の篠原涼選手が敵失で出塁すると、4番平沼翔太選手が二死二塁の場面で、先制となる2点本塁打を右翼ポール際に放り込んだ。五回に味方の失策などで一挙3点を奪われて同点に追いつかれたが、最終回二死一、二塁の好機に、2回戦の仙台育英戦でも決勝打を放った林中勇輝選手が勝負強さを発揮して左越え二塁打を放ち、サヨナラ勝ちを決めた。
五回に自らの捕球ミスで同点の走者をかえした中堅手の山本皓大選手は「思ったより打球が伸び、判断を誤った。準決勝は集中して臨む」と話していた。
東哲平監督は「選手には集中力を切らしたら負けだと伝えていた。一戦一戦力をつけている」と目を細めた。
◇1球1瞬 サヨナラ打呼んだ選球眼
フルカウントからの6球目。真ん中への直球と思いきや、手元で外へ流れるように落ちた。読み通りの変化球、スライダーだ。思わずバットが出そうになるのを必死でこらえた。ボール。2番中井基継選手へのこの四球で、九回裏二死一、二塁。続く林中勇輝選手がサヨナラ打を決めた。
序盤に3点を挙げ、エース平沼翔太投手はこの日も四回まで被安打1と危なげなかった。だが、チームは得意なはずの守備からほころび始めた。五回に失策絡みでまさかの同点に追いつかれ、中井選手は七回の攻撃で「公式戦で失敗した記憶がない」という送りバントを失敗した。「平沼が3点もとられるはずがない」。動揺が気の緩みを招いた、としか言いようがない。
新チームの持ち味は堅い守りと、つなぐ野球。「守備とバントが得意」(東哲平監督)な中井選手はその象徴で、1回戦では2本の送りバントを確実に決めていた。だがこの試合、振り出しに戻された後の大事な場面で仕事をし損じた。
思い出せ。俺たちの野球を――。そう念じ、ナインで「延長戦になる前に試合を決めよう」と声を合わせて臨んだ最終回。迎えた好機でここ一番の集中力を発揮し、四球を選んだ。「どんな形でもいい。次につなかれば」と振り返った。
準決勝は、昨夏の準決勝で敗れた大阪桐蔭が相手。昨夏は「ベンチで何もできず、悔しかった」という中井選手は、「隙のない、つなぎの野球で先輩の借りを返す」と力を込めた。
(平井宏一郎)