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都市部の若者が農村地域に移住して地域の活性化に貢献する地域おこし協力隊の制度がスタートして5年が過ぎた。県内では、過疎高齢化に悩む能登地方で活用が少しずつ進み、地域に新たな刺激を与えている。今後の導入を予定する自治体も相次いでおり、自治体のサポートの重要性も増している。
昨年7月下旬に穴水町の地域おこし協力隊員となった北海道出身の近藤克哉さん(24)は、大阪とフランスで料理を学び、東京のフランス料理店などに勤務した経験を持つ。協力隊に就任して8か月、料理人の経験を存分に発揮し、特産品作りに奮闘している。
現在、構想段階にあるのが、「キンシウリ」を使った名物菓子の製作だ。キンシウリは「ソウメンカボチャ」とも呼ばれ、ゆでると果肉がそうめんのようにほぐれる能登の野菜。近所の農家から分けてもらう機会があり、シャキシャキとした食感に魅力を感じた。ジャムにしてパイ生地で挟み込み、上司や同僚に試食してもらったところ、反応は上々。4月からの販売を目指し、町内の菓子店で作ってもらえるよう協力を呼びかけ、見た目やパッケージデザインなど詰めの調整を進めている。世話役を務める同町の谷川和貴さん(25)は「地元出身の町職員とは異なるアイデアを期待しているが、十分応えてくれている」と評価する。
県地域振興課によると、県内では、七尾市が2012年9月に地域おこし協力隊を初めて導入。以降、過疎高齢化が顕著になる能登地方の2市2町で導入された。今年度から募集を始めた能登町では昨年10月、女性2人が就任し、首都圏在住者向けの観光ツアーや空き家対策のプラン作りに参加するなど、今月10日時点で男女計6人が地域活性化に取り組んでいる。
来年度に向けては、羽咋市が新たに4人を採用する予定。イノシシ肉などのジビエ料理や自然栽培の農業などに取り組んでもらう考えで、担当者は「新しい視点で市の再生に取り組んでほしい」と期待を込める。このほか、中能登町や宝達志水町もそれぞれ隊員1人を募集する予定だ。
一方、受け入れ態勢の重要性を指摘する声もある。「受け入れる自治体には、どんな仕事を任せるのか明確にする必要がある」と話すのは、一般社団法人「移住・交流推進機構」(東京都)の小森学参事。全国の事例では、隊員が赴任先でやりたい仕事を見つけられなかったり、逆に、「便利屋」として地域の雑用に追われたりして任期途中でやめるケースがあったという。小森参事は「隊員の役割を地元住民に説明して協力を依頼するなど、隊員が活動しやすい環境を整えることが自治体に求められている」と話している。
〈地域おこし協力隊〉
都市圏在住者が過疎や高齢化の進む農村や山間部に移住して地域活性化を担う。任期は最長3年で、報酬や活動費として国から各自治体に1人あたり年400万円まで支給される。総務省が2009年度に導入し、13年度末時点の隊員数は全国で978人。安倍首相は昨年、3年間で隊員数を3倍にする考えを表明し、総務省も移住先での起業経費として、さらに1人あたり100万円を上限に支援を上乗せする方針を決めた。