政治そのほか速
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中国の第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議が5日、北京で開幕した。李克強首相は「政府活動報告」で今年の経済成長率の目標を3年ぶりに0.5ポイント引き下げ、「7%前後」とする方針を表明。投資主導の成長重視路線から消費主導の安定した経済構造への転換姿勢を鮮明にしたが、社会保障制度の遅れなどが障害となり、賃金が増えても消費に回りにくい状況が続くなど課題は多い。また、国際的な地位向上に欠かせない国内の安定化に向け、急速な成長によってもたらされた社会のひずみの早期是正も求められている。
「量の拡大ばかりを重視する発展パターンはもはや続けられない」。李首相は政府活動報告のなかでこう強調し、成長重視の路線から転換する姿勢を明確にした。
中国政府が今年の経済成長率目標を引き下げた背景には、高成長を支えた従来の投資主導の手法が限界に達したことがある。投資主導の成長は不動産バブルや大気汚染などを招き、鉄鋼など主要産業で過剰生産につながった。「シャドーバンキング(影の銀行)」と呼ばれる不透明なお金の流れも増大。2014年の国内総生産(GDP)の実質成長率は、不動産市場の低迷などで7.4%と24年ぶりの低水準に沈んだ。
習近平政権は、日本など先進国のように消費主導の安定した経済構造への転換を進める方針。今年の政府活動報告では、賃金引き上げや、主要産業を独占する国有企業の改革、個人の起業を促すための規制緩和などを盛り込み、個人消費や民間活力を新たな成長の柱に育てる意向を示した。習近平国家主席は昨年以降、成長が鈍化する現状を「新常態(ニューノーマル)」と表現。国民にも「新常態に適応せよ」と呼びかけ、目標引き下げに向けて布石を打ってきた。以前は、成長率の低下が失業者の増加につながるとされたが、サービス業の拡大で雇用は安定。「7%前後の成長なら雇用を確保できる」(李首相)との自信も、目標引き下げを後押しした。
だが、李首相が報告のなかで「今年直面する困難は昨年度よりさらに大きくなる」と認めたように課題は山積している。なかでも、消費主導への転換は思うように進んでいない。年金など社会保障制度の整備が遅れ、将来への不安が拭えないため、賃金の増加が消費に直結しにくくなっている。消費が盛り上がる春節(旧正月)は、海外での「爆買い」を生んだが、中国国内の小売売上高は、前年比で11%増と統計を開始した05年以来、最も低い伸びとなった。…