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【ワシントン和田浩明】ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の一方的な編入から1年を前に、米国務省のサキ報道官は16日、プーチン露大統領を名指しして「占領」をやめるよう求める声明を発表した。報道官は編入を承認した住民投票について、ロシア軍の軍事的圧力を背景にした「でっちあげ」と指弾。米国政府は編入を認めないと改めて明言した。
報道官はまた、ロシア支配下でクリミアの人権状況が大幅に悪化し、タタール人など少数派が抑圧され、基本的自由を組織的に拒否されていると主張。不当な住民の拘束や尋問、非政府組織(NGO)や独立系メディアの排除が起きていると強い調子でロシアを非難した。
だが、オバマ米政権が対露関係の戦略的な見直しを打ち出す状況には至っていない。
オバマ大統領は「ウクライナ紛争に軍事的解決はない」との認識のもと、経済制裁と外交交渉などを通じ事態打開を目指してきた。だが、ウクライナ東部での政府軍と親露派武装勢力の停戦に関する今年2月の交渉では、ドイツとフランスが仲介役を務めたものの、米国は直接参加しなかった。追加制裁にも慎重で、ウクライナ側が求めている防衛用武器の供与にも応じていない。
オバマ大統領のこうした姿勢について、米野党・共和党のコーカー上院外交委員長は10日の公聴会で「親露派が破ってきた停戦合意の実現に期待するのは戦略とは言えない」と批判。与党・民主党の有力者メネンデス議員ですら「米国の欧州からの後退が、ウクライナでプーチンに機会を作り出した」と指摘、「米国主導」の対応を求めた。
両党議員は「外交的解決には、プーチンのウクライナ破壊のコスト引き上げ」(メネンデス氏)のため、ウクライナ側への武器供与を重ねて要求した。しかし、公聴会の翌日にオバマ政権が発表した新規援助策に武器供与は含まれていなかった。「武器供与は流血を拡大するだけ」(アーネスト大統領報道官)との判断からだ。
オバマ政権としても、ロシアがウクライナなど西部国境沿いの国々に向ける「戦略的野心」(ブレナン米中央情報局長官)には警戒を強めている。だが、緊張を深める一方の米露関係を「新冷戦」と指摘する声にも、「そうした見方は取らない」(サキ報道官)と慎重な姿勢を崩していない。
プーチン大統領は15日放送のロシア国営テレビで、クリミア編入時に核兵器の使用を準備していたと述べたが、サキ報道官は16日の定例会見で「実際には(使用)しておらず、特にコメントはない」と述べるにとどめた。