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◇味の素・西井孝明次期社長
味の素が目指す世界の食品メーカーの営業利益トップ10入り。常連であるスイス・ネスレなどを「偉大な企業」とたたえ、その強みを「中核製品とそれを生かす(販売)戦略がしっかりしている」と分析する。味の素は原材料コストの上昇などで国内の食品事業が苦戦しているが、次期社長として、調味料の「味の素」などアミノ酸を使った食品を中核と位置付け、「新興国など成長市場にもっと集中する」と述べた。
入社後は国内販売や市場調査、人事など幅広い部署で働いてきた。最も記憶に残っている仕事として、冷凍食品事業の立て直しを挙げる。2004〜09年に子会社の「味の素冷凍食品」に出向し、部長としてギョーザやシューマイなどを素材や調理方法から見直した。味を改良すると同時に価格を2年間で約2割引き上げ、収益を改善させた。「値上げには社内の反対もあったが、味も良くして消費者の理解を得られた」と振り返る。苦しい仕事を多く経験したが、「現実から逃げず、必ず成功させる」との信念で乗り切ってきた。
現地法人の社長を務めているブラジルから一時帰国した昨年12月、伊藤雅俊社長から後継指名された。「頭が真っ白になった」が、伊藤社長は「どんな状況でも動じない。幅広い経験でバランス感覚もある」と評価する。
座右の銘は、「忍耐と努力で高い理想に向け行動する」という意味の「至誠・至善・堅忍・力行」。趣味はゴルフと食べ歩き。単身赴任のブラジルでは現地料理を堪能してきた。【山口知】