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9日付の韓国紙・朝鮮日報は、韓国に移住した脱北者は3万人近くに上るが、その生活ぶりは楽観できず、多くの人が安定した職に就けないままだと報じた。北朝鮮でエリート待遇を受けていた人は現実のあまりの厳しさに「ドラマで見ていたのと全く違う」と嘆いているという。10日付で環球時報が伝えた。
インタビューに応じた脱北者の崔さん(43)は12年から韓国に定住し、紡績工場で働いている。北朝鮮では内科医で、生活は非常に安定していた。15年の経験を生かし、韓国でも医師として活躍できると思っていたが、韓国の医師免許を取得する試験で英語がネックとなり、医師の道は閉ざされた。現在の月収は150万ウォン(約16万円)。「一人暮らしなので何とか生活はできるが、毎日8時間以上を機械相手に過ごしてクタクタ。こんな思いをするために韓国に来たのかと常に自問している」と語る。
37歳の趙さんは、北朝鮮で小学校の教師をしていた。09年に韓国入りした時には教師を続ける気でいたが、北朝鮮の教員免許は認証されず、アルバイトなどで生計を立てている。韓国に移住したことについて、「プライドを失う結果となった。当時はあまりにも世間知らずだった」と話している。
北朝鮮で地質研究に従事していた鄭さんも「脱北者はそれなりの覚悟をしてくるが、エリート層だった人は韓国での生活に馴染めない場合が多い」と指摘する。鄭さん自身も今は専門とは全く関係のない仕事をしている。
韓国統一部によると、14年末現在の脱北者数は2万7518人。うち医療、教育、法律、軍事、ITなど専門分野で活躍していた人は533人だが、韓国でもそれを生かした仕事をしている人はわずか10%。ほとんどはアルバイトか飲食業で働いているという。
(編集翻訳 小豆沢紀子)