政治そのほか速
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3月20日は国連が定めた『国際幸福デー(International Day of Happiness)』。2015年は第3回目となるこの日、世界各地でハッピーなイベントが行われる。22日の『HAPPY DAY TOKYO2015(日比谷公園)』をはじめ、日本各地でも関連イベントが開催される予定だ。
この『国際幸福デー』が作られたきっかけは、GNH(Gross National Happiness:国民総幸福量)という、これまでにない概念の指数が世界的に認知されたことによるものだ。資本主義的経済価値だけを追うGNPやGDPでは計れない“幸福感”という抽象概念を数値化したGNHは、多くの人々に大きなインパクトをもって迎えられた。
しかし、その後の“お家騒動”もあり、当初の期待感や興奮は冷めつつあるのが世界的な現状だ。だが、だからといって幸福感指数が役に立たないということにはならないだろう。まずはGNHへの正しい理解が必要かもしれない。
■ 世界一幸福な国ブータン
GNHの歴史は、人口わずか70万人ほどのヒマラヤの小国ブータンという国の現代史でもあるといえる。
GNHは第4代ブータン国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクによって世界に先駆けて提唱された。ブータンの国連加盟の翌年、1972年に国王に即位した彼は、まずこの指数導入を国民に発表する。
インドと中国という両大国に挟まれた緩衝国ブータンは、外交・軍事の面においてはインド(インド独立以前は英国)の監督下にあり、外国人を拒み鎖国政策を敷いてきた歴史をもつ。よって国連加盟時にはあらゆる経済指数が最低レベルで、世界最貧国としてのスタートを切ることとなった。
経済の貧弱さだけでなく、チベット仏教内での宗派対立、王侯貴族内での対立、共産ゲリラとの戦いなど多くの問題も抱え、そのため若き国王は、国民を安心させ、自信を持たせる必要があった。そこで生まれたのが、精神面での豊かさを計る指数GNHだ。
伝統的価値観に意義を与えることで急激な社会の変化を抑制、国民一人当たりの幸福量の最大化を目指しそれに沿った政策を採るという道は、ヒマラヤ山脈と大国に囲まれ、地理的にも政治的にも常に困難が付きまとうこの国にとって、ほかの選択肢がない道だったといえるかもしれない。
一方、支配者層の言語であるゾンカ語を唯一の公用語とし、チベット系国民にチベット式伝統衣装と生活様式を義務付けるなど、国家アイデンティティーを模索する過程で後の社会混乱を生むことになる政策も執られた。…