政治そのほか速
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2月に行われたワタミ過労死裁判の口頭弁論で、自殺した森美菜さんが働いていた店の元店長の供述書が労働基準監督署から提出されました。元店長は、森さんの様子について、
「気持ちが真っ暗になって沈んでしまうこともあるとちょこちょこ話していました。確かに、私からも見ても心が沈んでいるのがはっきりわかる時もありました」
と明かし、129時間という長時間の残業時間があったことに加え、休憩時間は「1時間は取れず、30分程度しか取れていませんでした」と述べていたそうです。
■「労働環境の改善努力が足りない」のかもしれないが
これだけ見ると、元店長の指導力が不足しており、労働環境の改善の努力が足りないとも取れます。ただ、そのような状況を生んだのは、まぎれもなくワタミという会社です。
私が働いていたころも、どの店も「人がいないこと」に悩んでいました。店の従業員の9割が勤務体系の不規則なアルバイトのため、シフトに穴が開くことは日常茶飯事。シフトの穴埋めは社員の役目です。
「残業129時間、休憩が30分」というところを見ると、森さんの働いていた店も人手不足で、社員が出勤せざるを得なかったのだろうと思います。
ただ、ワタミでも店長やその上の課長や部長は、こう声を掛けていました。
「シフトがどうしても埋まらなかったら言えよ。みんな仲間だし助けるぞ」
その一方でワタミには、「社員は、店の問題は自分たちで解決しなければならない」という組織風土がありました。配属された社員たちに、店舗の全責任を取らせるのです。例えば売上が低ければ自分の働いた時間数を削ってサービス残業をせざるを得ない「ノーコン」という制度を作っていることもそうです。
したがって、実際に「人が足りなくてシフトが組めません」と泣きついたところで、
「それはお前の力不足だろ。自分たちで何とかしろよ」
と言い返されるのが関の山なのです。「みんな仲間だし助けるぞ」という約束は、果たされたことはありませんでした。
■外食チェーン全体の問題でもある
しかし、どんなに頑張ってもできないものはできません。このように考えると、森さんが働いていた店の店長も、加害者というよりも、ある意味では被害者なのかも知れません。
誤解のないように言うと、休憩時間の短さや残業時間の異常さを肯定するつもりはありません。店長も上司なら部下への配慮をしなければなりませんし、過労自殺など絶対にあってはならないことです。…