メジャーリーグ、ボストン・レッドソックスの上原浩治投手が、米フロリダ州で行われている春季キャンプで順調に調整を進めている。10日にはオープン戦２度目の登板で１回を投げ１安打無失点、２三振とまずまずの内容だった。
　
　　キャンプ本拠地フォートマイヤーズでのレイズ戦で、四回に２番手でマウンドへ。先頭打者には甘く入った速球を捉えられ、右越え二塁打を許した。しかし、その後は球が低めに集まり、次の右打者を外角のカットボールで空振り三振。続く左打者もスプリットで空振り三振に仕留め、最後は右打者をカットボールでファーストフライに打ち取った。
　
　　初登板でもそうだったが、シーズン中にはほとんど投げないカットボールを試している。この日も右打者の外角へ逃げる球として効果的に使ったが、それだけに「常に肘の位置を意識して投げた」と振り返った。カットボールを織り交ぜることで、「前回、（肘が）すごく下がった」というのだ。
　
　　現在はやりたいことを試す時期としてカットボールを投げているが、「カットを入れることで違う部分が崩れてくることもある。そういうところに気をつけないといけない」。本来の主要な球種である速球とスプリットに悪影響が出ないよう、しっかり「上から投げる」ことを重視したマウンドだった。この日はベンチのニエベス投手コーチらに肘の位置を注意して見てくれるよう頼んでもいたという。
　
　　６日の初登板ではやや制球が乱れ、１回を投げ３安打１失点。それでも「まだ始まったばかり。何も気にしていない」と語り、あくまでオープン戦は調整と考えている。今回の登板後も、「今は投げられているということがまずは大事。その後に精度を求めていけばいい。内容を気にする時期ではない」と強調した。だが右肘の位置の話を聞くと、やはり細心の注意を払って実戦を重ねている姿勢が伝わってくる。
　
　　そしてこの日、日本は３月11日。これまで何度も東日本大震災の被災地に訪れている上原は、「毎年行かせていただいているが、だんだんそういう（震災に関する）ことが報道されなくなってきている。時期が近づいたから報道するのではなく、もっともっとされて欲しい。全然（復興は）進んでないから。現地に行って思ったことですけど。もっともっと周りが気にして、助け合ってやっていって欲しい」と強い思いも口にした。