Public Library of Science社より刊行されている科学雑誌「PLOS ONE」のサイトに、東京大学・キリン・小岩井乳業の共同研究グループによる“カマンベールチーズがアルツハイマー予防につながるかもしれない”という研究結果が報告され、話題となっています。

　世界的な高齢者の増加に伴い、認知症が大きな問題となっており、さまざまな研究がなされています。最近では、チーズなどの発酵乳製品の摂取量と認知機能の低下、およびアルツハイマー病と認知症の予防に関連があるという報告はあったものの、その詳細なメカニズムは解明されていませんでした。

　今回、研究グループは、市販のカマンベールチーズの脂肪成分を除いたものを、アルツハイマー病自然発症モデルマウスに3カ月間与えました。すると、アルツハイマー病の原因物質である「アミロイドβ」の量が低下していることが明らかになったとのこと。

　また、白カビで発酵させた食品が、脳内で「アミロイドβ」の除去や免疫機構を担う細胞「ミクログリア」を増強することもわかったそうです。

　これまでにも、九州大学大学院が1961年から50年以上にわたり、住民8,500人の栄養摂取状態や生活習慣病の調査をおこなったところ、牛乳・乳製品の摂取が認知症予防に効果的であることが分かったという報告があります。牛乳・乳製品、大豆・大豆製品、野菜、海草類などを多く食べる食事パターンは、認知症のリスクを4～5割減少させており、中でも、牛乳・乳製品は摂取量が多いほど発症リスクを低下させることが明らかになったそうです。これは、牛乳・乳製品に多く含まれるカルシウム、マグネシウムなどがインスリン抵抗性を改善することで糖尿病を改善し、それが認知症の予防効果につながっていると考えられるとのこと。日本人型の食生活では、不足しがちな乳製品。意識して毎日摂取したいものです。