政治そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
体によくないとわかっていても、つい食べてしまう揚げ物やラーメン。やらねばと思いつつも、なかなかできない運動。胃の中に入ってしまった食べ物やゴロゴロと過ごした休暇を取り戻すべく始めたダイエットも長続きはしない……。そんな悩みを抱える読者も少なくないだろう。
そんな肥満や糖尿病という悩みを持つ方々にうってつけなのが、体や健康に関して深い知識がない人でもすぐに実践でき、かつ効果の高い方法を網羅した一冊、『好きなものを食べても太らない・病気にならない 帳消しメソッド』(高橋弘/日本実業出版社)だ。
そこで今回は、本書の著者で米ハーバード大学医学部元准教授の医師、高橋弘氏に、
・好きな物を食べても健康的に痩せられる食事方法
・高カロリーのラーメンや焼肉の正しい食べ方
・ダイエットと健康に効果を発揮するファイトケミカルとは?
について話を聞いた。
●執筆のきっかけは自分の肥満
–本書では、食習慣の改善や生活上の工夫で簡単に体重を落とせる内容を紹介されていますが、執筆に至った経緯を教えてください。
高橋弘氏(以下、高橋) 執筆した理由は2つあります。1つは、以前肥満体だった自分自身がダイエットに成功したこと。今から約15年前に私がハーバード大学の病院に勤めていた頃の話になりますが、渡米前は75キロ前後だった体重が、日本に帰国した頃には90キロ近くにまで増えていたのです。日本よりも皿の大きさからしてひと回りもふた回りも違うハイカロリーな料理で、体重が増えてしまったのです。そこで、帰国を機に減量を決意しました。もともとチャレンジが好きな性格なので、ダイエットに関しても、さまざまなことを実践していきました。
–健康を一番に考える医師という立場でも、他国のボリュームの違う食文化に触れることで、きがつかないうちに体重が増加してしまったのですね。
高橋 実践したダイエット方法が、体重を無理なく落とせたのは大きな発見でした。もう1つのきっかけは、日々の診察でメタボや糖尿病で悩む患者さんに「簡単で楽に痩せられる方法」を伝えていましたが、来院されていない方にも広く知ってもらいたいと思ったことです。「痩せる」という言葉を口に出すだけならば簡単ですが、実際に痩せるのはいかに大変で苦労することか、自ら体験したからこそ理解でき、また対処法も確実なものをお伝えできると思っています。
●健康的に痩せるためには、食事に「ベジファースト」を取り入れる
–本書のタイトルにもなっている「好きなものを食べても帳消しにできる」食事方法を教えてください。
高橋 ラーメンや焼肉などは、肥満体質の人は漏れなく大好きなメニューでしょう。他人からすると「ダイエット中ならば、食べなければいいのに」と思うかもしれませんが、食べることが好きな人や生きがいとなっている人たちからすると、制御できないのが正直なところでしょう。また過剰な食事制限や急激なダイエット計画は長く持続しません。かくいう私も、ダイエット中でもラーメンや焼肉などを食べていましたが、ここにひと工夫加えることがコツなのです。糖質や油分など、カロリーが多く含まれるものを摂取する場合に重要なのが「ベジファースト」、つまり野菜を先に食べるということです。–具体的に、ベジファーストは、どのような効果があるのでしょうか?
高橋 野菜から先に摂取することによって、食後の血糖値上昇を抑えることができます。炭水化物から食べると血糖値は上がりやすく、さらに上がった血糖値を下げるために体内でインスリンが分泌されるわけですが、インスリンにはカロリーやエネルギーを体脂肪(中性脂肪)に変える働きがあるため、食べたものが皮下脂肪などとして体内に残りやすくなります。そこで野菜を先に摂取することは、インスリンの急激な分泌を防ぐ効果があるのです。
–たとえインスリンで一時的に血糖値が下がったとしても、血液中のブドウ糖自体は脂肪として体内に残るということですね。
高橋 はい。体には糖質や油分のカロリーだけがよくないと単純に考えがちですが、そうではなく「血糖値の上下」が、健康とダイエットには重要といえます。食べ物で具体的に説明すると、ラーメンを食べる際はタンメンや五目ラーメン、チャンポンのように野菜がたくさん入ったメニューをセレクトするように心がけましょう。ポイントとしては、まず麺を固めでオーダーし、取り皿も用意してもらいます。料理が提供されたら、麺を取り皿に移し、お酢をかけます。するとデンプンを消化するアミラーゼという酵素の働きが抑えられ、消化を遅らせることができ、血糖値が上がりにくくなるのです。そこから野菜本来の味を楽しみ、最後に麺をスープに戻します。酢によって風味も増すので、箸も進みます。
–焼肉の場合は白米の代わりに必ず野菜のサンチュにくるんで食べる、ということをオススメされていますね。
高橋 焼肉の場合でもヘルシーに食べることが大切。私は、何人で食べに行ったとしても必ずサンチュは1人1皿注文するようにしています。さらにキムチなどでベジファーストすることを忘れず、カルビやロースなど脂質が多い部位は弱火でじっくりと焼き、網上でできるだけ脂質を落としてから食べます。またドリンクに関してですが、マッコリや韓国焼酎は糖質が多く、飲み過ぎると血糖値が上がりやすくなるので注意してください。
●野菜が持つ「ファイトケミカル」で帳消しにする
–本書には「ファイトケミカル」という聞き慣れない単語が登場しますが、一体どういったものですか?
高橋 ファイトケミカルとは、植物に含まれている天然物質です。昔は「抗酸化物質」と呼ばれていました。ファイトケミカルには、端的に説明すると体のサビを防いだり、内臓の解毒をしてくれる効果があります。例えば、老化防止で代表的なものは、緑茶などに含まれているカテキンやトマトなどに含まれているリコピンなどが挙げられます。また、心筋梗塞や脳梗塞を予防する血液サラサラ効果が期待できる、タマネギなどに含まれるケルセチン、そばなどに含まれるルチンも代表的なファイトケミカルです。本書にも、そのほかのファイトケミカルを重要事項として図柄とともに紹介しています。–ベジファーストしかり、「帳消し」にするためのポイントは野菜にあるという印象を受けますね。
高橋 その通りです。ダイエットを成功させるためには、まず土台となる健康な体が必要となります。最近は「糖質制限ダイエット」や「炭水化物制限ダイエット」という言葉をよく耳にしますが、それらで制限する米は確かに炭水化物ですが、たんぱく質も多く含んでいます。米は、昔から日本人にとってたんぱく質の補充源の一つです。知識の浅いまま炭水化物を制限してしまうと、たんぱく質不足や、ひいては栄養失調を起こしてしまうケースもあるのです。それならば血糖値の上昇が遅く、インスリンの分泌を抑えられる玄米やそば、春雨、野菜など、グリセミック・インデックス値(GI値)の低い食べ物を意識して食べるほうがダイエットには効果的です。
–GI値に関しては、本書の中でも大きく扱っていますね。例えば、ブドウ糖をトップの100としたならば、90~99に食パンやフランスパン、80~90に白米やうどん、50~59に玄米、そば、中華麺などがあり、10~19にほうれん草やトマト、ひじきなどが紹介されています。
高橋 GI値が低くファイトケミカルを含んでいる野菜を最初に食べるだけで健康的に痩せられ、中高年に多い肝臓の病気や脂肪肝の悩みも解消につながるでしょう。野菜の摂取量としては一日に350グラムから400グラム。理想としては朝昼晩の食事の中で70グラムずつ5皿の野菜を食べられるといいですね。肥満や重病ではない病気ならば、食べたものを帳消しにできるでしょう。
–最後に、健康とダイエットに励む読者にメッセージをお願いします。
高橋 本書はすべて私自身がチャレンジし、大きな効果があったものを紹介しています。簡単で、努力の必要もそれほどありません。それは、ダイエットや健康には我慢をすることが一番よくないからです。食べ方を変える、食べる順番を工夫してみる、そういったメソッドで体はゆっくりとですが変化していきます。90キロあった私が75キロまで健康的に絞れたように、手に取ってくださった皆様にも必ず効果が表れる一冊だと信じています。そして、くれぐれも無茶なダイエットだけはしないでほしいですね。
–ありがとうございました。
(構成=東賢志/A4studio)