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「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/3月7日号)は『マンション 戸建て 高く売れる家 売れない家』という特集を組んでいる。「多くの人が不動産の購入には心血を注ぐが、売却には無頓着で数百万円も損をしている。これからは高く売り抜けられなければ、不良資産として持て余す時代が到来しそうだ。すぐに売る予定がなくても、自宅の価値を定期的に査定して把握し、売る力をレベルアップしていくという姿勢が求められる」という内容だ。
今、大都市圏の中古マンションの価格は高騰している。新築マンションは「2020年の東京オリンピックごろまでは相場が上昇する」と関係者や消費者の多くが見ており、実際に高止まりしている。そのため、新築から中古へ流れ、今や07年のミニバブル並みの価格水準になっているのだ。
逆にいえば、マンションを所有する人にとっては、絶好の売り時なのだ。「マンションを売却するには、購入から15年目がベスト」と住宅ジャーナリストは言う。今から15年前は、「マンションの価格は、底値といえるほど低かった。そのため、今の相場で売り抜ければ、かなりの売却益が見込める」ためだ。
また、マンションの修繕積立金の問題もある。マンションの大規模修繕工事に向けた修繕積立金が築15年を超えたあたりから突然上がるケースがあるのだ。
「特に超高層マンションではそれが顕著で、入居時には修繕積立金と管理費は合わせて3万円程度だったものが、16年目には8万円程度にアップすることもある」(同特集より)
近い将来、空き家が急増し、不動産が“負動産”になる前に手放そうということか。
●転換点を迎えた不動産業界
しかし売却にあたっては、不動産業界には売り手のためにはならないカラクリが用意されているため、業界の手数料ルールや営業マンの見分け方などを把握しておく必要がある。
今回の特集では、これまでも不動産業界で問題点として指摘されている「両手仲介」にも迫っている。
「両手仲介とは、自社の顧客である売り手の物件を、自社の顧客の買い手に仲介することだ」(同特集より)
不動産仲介業は手数料ビジネス、一方だけでは売却代金の3%が上限となるが、両手取引では双方から合計で「6%の手数料が懐に入ってくる」。ただし、売り手の物件を業者が囲い込む傾向があり、流通を阻害している。こうした取引を有名企業も行っているのが、業界の現実なのだ。国内市場の縮小を前に、不動産仲介業界も転換点を迎えている。「日経ビジネス」(日経BP社/2月23日号)の特集『ニッポンの家 進化したウサギ小屋、海を越える』は、国内市場の縮小を見越し、日本の住宅産業が海外進出を本格化させていると伝えている。
「世界の住宅新築件数は年率3.2%増で拡大し、2018年には6200万件に達する。これは日本の約70倍の規模。膨大なフロンティアがそこにある」(同特集より)
国内で「セキスイハイム」を販売する住宅メーカー大手、積水化学工業はタイで現地の建材大手と「SCGハイム」という合弁事業を展開する。マレーシアでは、パナソニックの子会社パナホームが戸建て住宅を展開する。パナホームは売上高5000億円のうち、その1割に当たる500億円を海外事業で稼ぐ計画だ。中国で、消費者向けではなく、柱や梁など鉄骨部材を現地のデベロッパー向けに売るビジネスを実践しているのが大和ハウス工業だ。移民流入で人口増加が続くオーストラリアには、積水ハウスと住友林業が積極的に展開している。
住宅の分野でも、日本品質を世界に売り出していく――というビジネスモデルだが、見習うべきはトイレのTOTOだ。品質の高さを確保しながら現地ニーズをしっかり取り入れて、今では「17カ国・地域」に進出しているのだ。
20年以降の空き家が急増し、日本の不動産が“負動産”になる時代に向けて、住宅メーカーは着々と手を打っている。
(文=松井克明/CFP)