血で血を洗う、凄惨な遺恨マッチが勃発してしまうのではないか!?
今、女子プロレスの世界で“禁断の姉妹対決”が大きな話題を呼んでいる。まずは簡単に2人の歴史を振り返ってみよう。“美人姉妹タッグ”としてデビューした紫雷美央と紫雷イオは、血の繋がった実の姉妹だ。最初の所属団体を離れてからフリーランスとして各団体を渡り歩いた際も、常に行動は一緒。ブログも2人で共有するなど、周囲からも一蓮托生と見られていた。ところが妹のイオは、2011年に姉・美央、華名と3人で組んでいたユニット「トリプルテイルズ」から離脱。これを機に、姉妹は別々の道を歩むことになる。
⇒【画像】紫雷イオ
その後、妹・イオは女子プロ団体最大手のスターダムに所属。最高権威とされるワールド・オブ・スターダム(通称・赤いベルト)を10度防衛するなど、団体エースとして君臨してきた。一方、姉・美央はフリーとしてマルチに活躍。現在はユニオンプロレス、OZアカデミー、アイスリボン、プロレスリングWAVEの4団体に所属し、幅広いファンから支持を集めている。それが今回、美央が4団体合同で開催する興行『M.I.O』(2月14日/東京・新宿FACE)で直接対決を行うというのだ。このあたりの事情について、あるプロレス・ライターが匿名を条件に語ってくれた。
「この試合は、業界内部でもヤバいんじゃないかと囁かれている。なぜかというと、2人の不仲がシュート(注:真剣勝負の意)だからですよ。つまり、リアルな骨肉の争いがリング上で行われることになります。背景には各団体の思惑も複雑に入り混じっており、なぜ揉めているのかは、とても一言では言い表せない状況。どういう結末になるのか、試合当日を迎えるまで誰もわからないんです」
2人は過去にも何度か直接対決を行っているが、今回の試合は意味合いがまるで違うというのだ。では、プロレスラーとしての技量はどちらのほうが上なのか?
「妹のイオ選手は器械体操の経験者。とにかく身体能力がハンパじゃなく、芸術的な空中殺法を得意とするフィジカル・エリートです。最近は団体の垣根を越え、ライト層からも注目を集め始めていますね。それに対して姉の美央選手は、いわゆる“プロレス頭”がズバ抜けているんです。口が立つし、発想も柔軟。アドリブ力も申し分ない。4団体所属というのも、多くの関係者の信頼を勝ち取っているからこそです。両者ともルックスのよさを武器としていますが、目鼻立ちのはっきりした美人系の姉・美央選手に対して、妹・イオ選手は笑顔がチャーミングなキュート系。正直、こちらも甲乙つけがたい。ただ間違いなく言えるのは、お互いに自分のほうが上だというプライドを持っていることでしょうね」
なにやら問題の根が相当に深いことは伝わってくる。では、2人の間にいったい何があったのか? 日刊SPA!は渦中の姉・美央を直撃。試合に対する意気込みとともに、遺恨の真相を洗いざらい語ってもらった。
◆姉妹の仲は、はっきり言ってよくない
美央:どこから話せばいいのかな……。まず姉妹の仲についてですが、これははっきり言ってよくない。実は私の上にもう1人一般人の姉がいて、正確に言うと3姉妹なんです。昔から長女と三女のイオは仲がよく、次女の私は母と一緒にいることが多い。お互い、単純にウマが合わないんでしょうね。
しかし、元をただせば妹・イオがプロレス界入りしたのも姉・美央の影響が大きかった。友人に誘われてプロレス観戦をした美央は、団体関係者に誘われるままに練習を開始。同時にイオもこれに参加する。折しもイオは器械体操をやめた直後であり、「私も身体を動かしたい」という希望があったからだ。
デビューした2人はマット界でも注目される存在となっていったが、前述した通り3年前にイオがトリプルテイルズを離脱。その直後にスターダムへと電撃移籍する。どうしてこれは起こったものなのか? 美央が舞台裏を明らかにする。
美央:妹は海外で闘いたいという希望を持っていたんですね。メキシコ・マットとかアメリカのWWEとか。だけど私は、さほど海外志向が強くなかった。当時の妹は、スターダムに移籍すれば海外で活躍するチャンスも増えると考えたんです。これはもう考え方の違い。どちらが正しいとか、そういう類の話ではないですよ。
最初は単純なプロレス観の違いだった。しかし立場が変わった2人の距離は、徐々に開き始めていく。フリーでの活動を続ける中、姉・美央は妹が所属するスターダムに煮え湯を飲まされるような出来事もあったという。美央の話を聞いていると、「妹が憎い!」というよりも、スターダムに対する積年の不信感があるように感じられる。
美央:なぜ今、このカードをあえて組もうかと思ったか? それは賞味期限が来てしまうんじゃないかという焦りがあったからです。どんなに面白い組み合わせでも、やっぱり旬を過ぎると話題性がなくなっちゃいますから。今は正直いって2人とも人気はあると思うけど、私もすでに27歳になろうとしている。30歳も近いし、来年、どうなっているかなんてわからないじゃないですか。私自身の動機としては、姉妹の確執がどうだとかいうウェットな感情よりも、むしろ選手として旬な試合をやっておきたいというところが出発点。まぁもっとも彼女のほうは私と違って、姉妹っていうことをことさら重~く考えているみたいですけどね(苦笑)。
今回の直接対決、発端となったのは11月に行われた記者会見だった。ここで姉・美央は「紫雷イオとシングルマッチがしたいです!」とブチ上げるものの、妹・イオ並びにスターダム側は「美央の話題作りにつき合う気はない」といった調子で、つれない対応。「現状に満足していないからこそ、そんな発想が出てくるのでは? 私はスターダムで1試合1試合に命を燃やし、充実したプロレス生活を送っている。スターダムの選手たちとすごい試合をしていきたいというのが今のモチベーション」と上から目線で美央をこき下ろしたのだ。結果としては、そこから二転三転してシングル対決にこじつけたものの、姉の怒りは収まらない。
美央:彼女、記者会見とかでは「別に興味ありません」って感じでクールに振る舞っているけど、関係者の方から伝え聞くところでは、めちゃくちゃ意識しまくっているそうなんです。記者さんに対しても、私に関することを感情的にガーッとしゃべり倒すことがある一方、あとになって「やっぱりあれは全カットで」とNGが入ったりする。私からすると、「ふ~ん、随分と熱くなっちゃっているんだね」っていう感じですよ(ニヤリ)。それに「現状に満足していない」っていうのは、そのまんま妹に返してやりたい言葉。志田ちゃん落書きの件(WAVEマットで志田光が美央の太腿に「ヘタレイオ」と落書きした事件)にしたって、たしかにあれは志田ちゃんが失礼だったかもしれないけど、いつまでもギャーギャー言ってるんじゃなくて、チャンピオンらしくドーンと構えていればいいじゃないですか。弱い犬ほどキャンキャン吠えるじゃないけど、お前のほうが自信ないんじゃないんじゃないの? 自信がないからグチグチ言ってるんじゃないの? お姉ちゃんとしては、そう思っちゃいますよ(笑)。
⇒【vol.2】に続く http://nikkan-spa.jp/798187
<取材・文/小野田 衛>
●紫雷美央所属4団体合同興行「M.I.O」
日時: 2015年2月14日(土) 17:30開場 18:30開始
会場:東京・新宿FACE
※前売りチケットは全席SOLD OUT。当日に立見席を限定発売決定!
◆協力団体
ユニオン、OZアカデミー、アイスリボン、WAVE
◆主催&お問い合わせ:『M.I.O』実行委員会
mail:mio_4shirai@yahoo.co.jp
TEL:03・6300・5226(株式会社ZABUN)
【紫雷美央PROFILE】
しらい・みお◎1988年2月14日、神奈川県鎌倉市生まれ。身長162cm、体重52kg。キャッチフレーズは「フォックス・レディー」。2007年、橋本友彦プロデュース興行「MAKEHEN」で妹のイオとともにデビュー。「美人姉妹」として瞬く間に頭角を現す。2009年に同団体を離れると、フリーとして活躍。2014年からはユニオンプロレス、OZアカデミー、アイスリボン、プロレスリングWAVEの4団体と所属契約を締結している。「2014年ZAN1クイーン決定戦(女子プロレス人気投票)」では1位を獲得した。得意技は紫閃光、土蜘蛛、首4の字固め。オフィシャルブログ「美央の言うことを聞きなさい!」